Sp logo

Sp head01 Sp head02

【お盆の準備】日本の風習「お盆」っていったい何?地域ごとの風習も

2018/08/07

夏も半ばになると多くの人たちがお盆の帰省や予定について考えると思います。先祖の霊を供養する行事として広く日本に根付いているお盆、学校の夏休み期間や企業もお盆休みを取るところも多いので8月の行事のように思えますが、地域によって風習や期間、お墓参りの方法も違います。毎年お盆時期になるとお墓参りをして祖先の霊を供養するということは古くから伝わってきており、日本人の心に根付いた風習なので大切にしていきたいと思えます。その地域ごとに伝わってきた風習は歴史によって違いはありますが、祖先を大切にしてきていることは一緒です。今回は西日本のお盆の風習についてご紹介します。自分の地域との違いや、風習を再確認することでお盆を迎える気持ちの準備に繋がると思います。
 

「お盆」とは何だろう

「お盆」とは何だろう

諸説ありますが、お盆は仏教行事の一つである「盂蘭盆会」(うらぼんえ)からきているという説があります。古代インドの言語であるサンスクリット語のullambana(ウランバーナ)をそのまま漢字にあてはめたものです。お釈迦様の弟子の目連が母を餓鬼道の苦しみから救いたいと釈迦に尋ねたところ、7月15日にお布施や供養をせよと言われ行ったところ母親は極楽浄土に行くことができたことから、その日は大切な日となりました。そして、日本が昔から先祖供養のために行っていた神事が結びつき、現在ではご先祖様を迎えて供養するという風習が広まっていったということです。旧暦(太陰暦)7月15日を中心に盂蘭盆会の行事が明治に新暦(太陽暦)が導入されて以降1か月遅らせて8月に行うところが増えました。今でも旧暦の7月13日~15日に行う地域もあります。また、新暦の7月15日は農業の繁忙期ということでその時には行わず、月遅れの8月盆にしたという考え方もあります。色々と紆余曲折はありますが、日本人が祖先の供養を大切にしてきたということが見てとれます。
 

地域によって違う風習・盆踊り

地域によって違う風習・盆踊り

新聞やニュースなどでお盆の帰省ラッシュや渋滞情報が毎年ながれ、多くの人が帰省のために移動しているのを目にするのでお盆は8月というイメージが付いていますが、地域によって旧暦の日付のまま行ってるところもあります。旧暦の7月15日に行う沖縄地方や、東京、横浜、静岡、東北の一部は新暦の7月15日に行っているとこもあるそうです。旧暦は毎年日付が変わるので、新暦のさらに月遅れで行う8月のお盆が広まっていったということも理由の一つに挙げられます。送り火から由来する精霊流しや京都で行われる有名な「大文字の送り火」も昔から有名です。ご先祖様の供養のために多くの人が集まり、霊を迎える風習は時代を超えてもきちんと受け継がれているのがわかります。もう一つ、お盆の時期に頭に思い浮かべるのは「盆踊り」です。帰ってきたご先祖様の霊を慰め、そして送り出すという意味合いがあった「盆踊り」。今でも地域ごとに様々な催しが開かれています。昔、旧暦でお盆行事が行われていたとき、「盆踊り」は満月の日に行われていたそうです。明るい月の光のもと、夜通し踊ることができました。自然を感じながら静かで厳かな雰囲気の中踊っていたようです。今とは違っていて、想像するとしっとりとした静かな雰囲気が頭に浮かんできますね。現在では夏休み期間なのでおじいちゃんやおばあちゃんの家に遊びに行く人やお盆休みを利用して地元に帰省する人々が集えるようにお寺だけではなく地域の広場などで行われることも多く、お祭りのような雰囲気もあります。どちらもご先祖様との繋がりを大切にしている日本人ならではの文化に思えます。そして地域ごとに歴史や環境が違っていたので風習も様々存在し、その違いや背景を学ぶことも興味深いです。
 

お盆の準備とは

お盆の準備とは

現在西日本で一般的なお盆時期は8月13日から16日までと言われています。盆の入りを8月13日から行うのが一般的になっており、家庭で仏壇の前に精霊棚という祭壇を清め、設置してご先祖様たちが迷わないように迎え火を焚きます。ご先祖様は精霊棚に帰ってくるので仏壇の扉は締めておきます。そしてお墓参りを行います。お墓をきれいに掃除し、お坊さんにお経をあげてもらいます。初盆や新盆はお寺で法要を行い丁寧に供養したり、お墓で灯篭を灯したりするなど地域によって違います。最終日は帰り道を照らすということで送り火を焚きます。ナスやキュウリで馬と牛の形をつくり精霊馬と精霊牛を盆棚にならべます。迎えるときは早く来ることができるように馬を使って、帰るときはゆっくりと帰ってもらえるように牛を使ってという思いが込められています。精霊棚にお供えするものは季節の野菜、果物、花、そうめんなど地域によって様々ですが、一般的には盆棚に飾りご先祖様の供養を行います。また、精霊流しや灯篭流しを行っている地域をテレビで見ることもあります。このようにお盆の期間中に行う準備やお供え物について知ると、なんとなく行うよりもお盆をより近く感じることができる気がしますね。

四国のお盆

四国のお盆

一言にお盆といっても地域によって違うということがわかりました。自分の地域と比べたり、新しい地域に引っ越したときに学んだりお盆というのはとても奥深いものです。四国の香川県においても他の地域と違った風習があるようです。お家に精霊棚を設置して先祖の霊をお迎えする際に飾るものとして盆提灯や灯篭もあります。香川県では精霊棚だけではなくお墓参りの際にも灯篭を持っていく地域があります。お供え物やお線香の他に色がきれいな灯篭を持っていく風習があります。大きくはなく、竹を使って作られるので竹灯籠と呼ばれることもあり、お墓で倒れないように工夫をして設置します。ろうそくを中に入れることができるので迎え火としての役割を果たしています。高松の方では和紙で作られた真っ白い灯篭を持っていく地域もあります。こちらは吊り下げる灯篭で白いことから「さぬき盆灯篭」という名前で広まっています。細工が美しく、和紙で丁寧に作られています。お墓参りの際に色が付いたものや和紙でできた灯篭を持っていくのは独特な風習ですね。中々日常生活の忙しさの中では違う地域の風習を感じることができないですが、お盆行事は昔からの風習も知ることができる機会なのかもしれません。昔より遠くに移動できる手段があるので、日本文化を知るいいきっかけとしてお盆に帰省するのはまた違う日常を体験することができると思います。
 

 

もともとは仏教行事として日本に入ってきたお盆の風習は、日本の古くからの神事とも融合して独自に根付いて行きました。時代が進むにつれて、旧暦から新暦を使うようになったり、国民が従事していた農業の季節事情を鑑みたりしたことによって少し時期がずれたようですが、昔ながらの時期に行っているところがあると言うこともわかりました。いずれにしてもご先祖様の霊を迎え、供養し送るという風習を大切にしているということがわかります。四季を大切にする日本人はお盆の行事をすることによってまた、夏から秋の季節を感じることができるのでしょう。また、香川県を始めとして独自の風習もあり、それは歴史背景やその地域の文化も一緒に学ぶことで、より深く知ることができます。準備の段階から多くの意味が受け継がれているので、その意味を意識することでお盆がどういうものか肌で感じることができます。帰省する際などに考えてみてはいかがでしょうか。